2014.12.4
損害賠償請求事件(名誉毀損)

事件番号

京都地方裁判所判決/平成25年(ワ)第2893号

判決日付

平成26年8月7日

事案概要

本件は,平成24年12月に府迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕され,平成25年4月に執行猶予付きの有罪判決を受けた原告が,インターネットの検索サイトで自分の氏名を検索すると逮捕記事が表示されることにより,名誉毀損・プライバシー侵害が行われているとして,当該サイトを運営する被告に対し,不法行為に基づく損害賠償を求めるとともに,人格権に基づく差止めを求めた事案である。
 被告の検索サービスを利用し,検索ワードとして原告の氏名を入力すると,その検索結果として,原告の氏名が記載されたウェブサイトへのリンク・スニペット(当該サイトの記載内容のうち原告の氏名が含まれている部分の機械的抜粋)・当該サイトのURLがセットになったものが表示される。その中には,本件逮捕事実が記載されたものが複数含まれており,スニペットのみで本件逮捕事実を認識しうるものも存在する。

双方の主張

原告は,スニペット部分には正に本件逮捕事実が摘示されているし,リンク部分もクリック一つでリンク先サイト記載の本件逮捕事実が目に触れられるようにしていることからすると,被告は本件逮捕事実を摘示したものと評価しうると主張した。
これに対して被告は,①被告の検索サービスは,単なる情報へのアクセス手段としての機能を有するにすぎず,被告の意思内容の反映(表現行為)とはいえない,②本件検索結果の表示はウェブサイトの存在・所在を示すものにすぎず,本件逮捕事実を摘示しているわけではない,③本件逮捕事実が記載されているリンク先サイト(新聞記事等)につき名誉毀損が成立しないのに,これへのアクセス手段である本件検索サービスが違法となるというのは常識に反する,④本件検索結果の表示については公共性・公益目的性・真実性が認められるため違法性が阻却される,などと反論した。

判示事項

本件検索サービスの仕組みは,被告が構築したものであるから,検索結果の表示は,被告の意思に基づくものというべきであるが,被告が本件検索結果の表示によって摘示する事実は,原告の氏名が含まれている複数のウェブサイトの存在及び所在並びに当該サイトの記載内容の一部という事実で,被告がスニペット部分の表示に含まれている本件逮捕事実自体を摘示しているとは言えないし,仮に名誉毀損が成立するとしても,違法性が阻却されるとした。さらに,プライバシー侵害に関しても,摘示事実が社会の正当な関心事であり,摘示内容・摘示方法が不当なものともいえないとして,違法性阻却を肯定し,原告の各請求をいずれも棄却した。

キーワード

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