2015.07.08
国家賠償請求控訴事件

事件番号

大阪高裁平成26(ネ)668

判決日付

 平成27年1月22日

事案の概要

本件は,被控訴人の設置運営する高校の二年生に在籍し,テニス部に所属していた控訴人が平成19年5月24日,テニス部の練習中に倒れて心肺停止に至り,低酸素脳症を発症して重度の障害が残ったのは,同高校のテニス部の顧問や校長の義務違反によるものであるとして,控訴人が被控訴人に対して,国家賠償法1条1項又は在学契約に附随する安全配慮義務違反による損害賠償請求権に基づき損賠償等を請求した事案である。

判示事項

県立高校における部活動において,部活動中に生徒が熱中症により重度の後遺症が生じた場合において,部活動の顧問教諭に生徒の体調等に配慮した練習軽減措置等の義務違反が認められた事例。

判旨事項の要旨

課外のクラブ活動であっても,それが公立学校の教育活動の一環として行われるものである以上,その実施について,顧問の教諭には,生徒を指導監督し,事故発生を防止すべき一般的な注意義務がある。もとも,高校の課外クラブ活動は,生徒の成長の程度からみて,本来的には生徒の自主的活動であるというべきである。そして,その練習内容についても,部員である生徒の意思や体力等を無視して顧問が練習を強制するような性質のものではなく,各部員の自主的な判断によって定められているのが通常であると考えられるから,注意義務の程度も軽減されてしかるべきである。しかしながら,顧問が練習メニュー,練習時間等を各部員に指示しており,各部員が習慣的にその指示に忠実に従い,練習を実施しているような場合には,顧問としては,練習メニュー,練習時間等を指示・指導するに当たり,各部員の健康状態に支障を来す具体的な危険性が生じないよう指示・監督すべき義務があると解するのが相当である。

本件練習に立ち会うことができず,部員の体調の変化に応じて時宜を得た監督や指導ができない以上,教諭においては,控訴人を含めた部員らの健康状態に配慮し,本件事故当日の練習としては,通常よりも軽度の練習にとどめたり,その他休憩時間をもうけて充分な水分補給をする余裕を与えたりするなど,熱中症に陥らないように,予め指示・指導すべき義務があったといえる。それにもかかわらず,教諭は前記認定のとおり通常より練習時間も長く,練習内容も密度の高いメニューを控訴人に指示した上,水分補給に関する特段の指導もせず,水分補給のための充分な休憩時間を設定しない形で練習の指示をしていたことが認められる。

参照

判例時報2254号27頁

キーワード

国家賠償請求 公立高校 部活動 顧問 監督義務