2016.03.29
 保険金請求本訴・不当利得返還請求反訴事件(最高裁HP)

事件番号

最高裁  平成27(受)1384

判決日付

平成28年3月4日

事案の概要

本件本訴は,亡Aの子である上告人が,Aが老人デイサービスセンターの送迎車から降車した際に負った傷害により後遺障害が残ったと主張して,被上告人に対し,本件車両に係る自動車保険契約の搭乗者傷害特約に基づき,後遺障害保険金の支払を求めるものであり,本件反訴は,上記特約に基づきAに入通院保険金を支払った被上告人が,その金員の支払について法律上の原因がなかったと主張して,上告人に対し,不当利得返還請求権に基づき,上記金員の返還を求めるものである。

裁判要旨

老人デイサービスセンターの利用者が当該センターの送迎車から降車し着地する際に負傷したという事故が,当該送迎車に係る自動車保険契約の搭乗者傷害特約における当該送迎車の運行に起因するものとはいえないとされた。
本件の特約においては,本件車両の運行に起因する事故により,その搭乗者が身体に傷害を被り,入通院した場合に入通院保険金を支払い,また,上記傷害の結果,当該搭乗者に本件特約の定める後遺障害が生じた場合に後遺障害保険金を支払う旨が定められている。
本件の事故は,Aが本件センターの職員の介助により本件車両から降車した際に生じたものであるところ,本件において,上記職員が降車場所として危険な場所に本件車両を停車したといった事情はない。また,Aが本件車両から降車する際は,上記のとおり,通常踏み台を置いて安全に着地するように本件センターの職員がAを介助し,その踏み台を使用させる方法をとっていたが,今回も本件センターの職員による介助を受けて降車しており,本件車両の危険が現実化しないような一般的な措置がされており,その結果,Aが着地の際につまずいて転倒したり,足をくじいたり,足腰に想定外の強い衝撃を受けるなどの出来事はなかった。
以上から,本件事故は,本件車両の運行が本来的に有する危険が顕在化したものであるということはできないので,本件事故が本件車両の運行に起因するものとはいえないと判断され,Aは本件特約に基づく入通院保険金及び後遺障害保険金の各請求権を有しているとはいえないから,上告人の本訴請求を棄却し,被上告人の反訴請求を認容すべきものであるとされた。

参照

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/726/085726_hanrei.pdf

キーワード

デイサービス 送迎車 事故 損害 自動車保険 搭乗者傷害特約 後遺障害 保険金 不当利得 介助 危険 現実化