2016.03.29
 損害賠償請求事件(最高裁HP)

事件番号

最高裁  平成26(受)1985

判決日付

平成28年3月10日

事案の概要

本件は,上告人らが,被上告人がインターネット上のウェブサイトに掲載した記事によって名誉及び信用を毀損されたなどと主張して,被上告人に対し,不法行為に基づく損害賠償を請求する事案である。
米国ネバダ州法人である被上告人が上記記事をウェブサイトに掲載することによって,日本法人とその取締役である上告人らの名誉及び信用の毀損という結果が日本国内で発生したといえることから,本件訴えについては日本の裁判所が管轄権を有することとなる場合に当たる(民訴法3条の3第8号)。その上で,「日本の裁判所が審理及び裁判をすることが当事者間の衡平を害し,又は適正かつ迅速な審理の実現を妨げることとなる特別の事情」(民訴法3条の9)があり,本件訴えを却下することができるか否かが争われた。

裁判要旨

米国法人がウェブサイトに掲載した記事による名誉等の毀損を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求訴訟について,民訴法3条の9にいう「特別の事情」があるとされた。
本件の訴訟は,

  1. 米国における別件訴訟に係る紛争から派生した紛争に係るものといえること
  2. 事実関係や法律上の争点について,本件訴訟と共通し又は関連する点が多い米国の別件訴訟の状況に照らし,本件訴訟の本案の審理において想定される主な争点についての証拠方法は,主に米国に所在するものといえること
  3. 上告人らも被上告人も,被上告人の経営に関して生ずる紛争については米国で交渉,提訴等がされることを想定していたといえること
  4. 上告人らは,米国の別件訴訟において応訴するのみならず反訴も提起しているのであって,本件訴えに係る請求のために改めて米国において訴訟を提起するとしても,上告人らにとって過大な負担を課することになるとはいえないこと,及び
  5. 関係各証拠からすると,日本の裁判所において取り調べることは被上告人に過大な負担を課することになるといえること

といった事情から,上記判断が下された。

参照

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/737/085737_hanrei.pdf

キーワード

名誉 信用 毀損 不法行為 管轄 アメリカ 米国 民訴法3条の9 特別の事情 ウェブサイト インターネット