2016.07.04
損害賠償請求事件(最高裁HP)

事件番号

最高裁    平成26(受)755

判決日付

 平成28年4月21日

事案の概要

被上告人は,器物損壊罪で逮捕された後勾留され,神戸地方裁判所において,建造物損壊罪で懲役1年の判決を受け,これを不服として控訴し,神戸拘置所から大阪拘置所に移送され,同拘置所に収容されていた。大阪拘置所医務部の医師は,被上告人が11食連続して食事をしておらず,同拘置所入所時と比較して体重が5㎏減少しており,食事をするよう指導をしてもこれを拒絶していることから,このままでは被上告人の生命に危険が及ぶおそれがあると判断し,被上告人の同意を得ることなく,鼻腔から胃の内部にカテーテルを挿入し栄養剤を注入する鼻腔経管栄養補給の処置を実施した。その後,カテーテルを引き抜いたところ,被上告人の鼻腔から出血が認められたので,医師の指示により止血処置が行われた。

本件は,被上告人が,上告人に対し,被上告人の当時の身体状態に照らして不必要であった上記処置を実施したことが,拘置所に収容された被勾留者に対する診療行為における安全配慮義務に違反し債務不履行を構成するなどと主張して,損害賠償を求める事案である。国が,拘置所に収容された被勾留者に対し,未決勾留による拘禁関係の付随義務として信義則上の安全配慮義務を負うか否かが争われている。

判示事項

拘置所に収容された被勾留者に対する国の安全配慮義務の有無

裁判要旨

国は,拘置所に収容された被勾留者に対して,その不履行が損害賠償責任を生じさせることとなる信義則上の安全配慮義務を負わない。

参照

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/846/085846_hanrei.pdf

キーワード

民法1条2項,民法415条,刑事施設ニ於ケル刑事被告人ノ収容等ニ関スル法律(平成18年法律第58号による廃止前のもの)40条,刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律62条1項2号,拘置所,安全配慮義務,債務不履行,勾留者,損害賠償,信義則