2016.12.19
発信者情報開示請求事件(最高裁判所HP)

事件番号

東京地方裁判所 平成28年(ワ)第14508号

判決日付

平成28年7月19日

事案の概要

本件は,レコード会社である原告らが,一般利用者に対してインターネット接続プロバイダ事業等を行っている被告に対し,氏名不詳者が原告らのレコードに収録された楽曲を複製した音楽ファイルを被告の提供するインターネット接続サービスを利用して自動公衆送信し得るようにした行為が原告らの送信可能化権の侵害に当たると主張して,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」という。)4条1項に基づき,被告が保有する上記送信可能化権侵害に係る発信者情報の開示を求める事案である。

裁判要旨

氏名不詳者は,被告からインターネットプロトコル(IP)アドレス「(省 略)」(以下「本件IPアドレス」という。)の割当てを受けてインターネットに接続し,ファイル交換共有ソフトウェアと
互換性のあるソフトウェアを用いて,原告楽曲1をmp3方式により圧縮して複製したファイルを,インターネットに接続している不特定の他の上記ソフトウェア利用者からの求めに応じてインターネット回線を経由して自動的に送信し得る状態に置いた。
本件各利用者が原告楽曲1及び2に係るファイルについてインターネット回線を経由して不特定多数の者に自動的に送信し得る状態に置いた行為は送信可能化に当たるものと認められる。
また,本件の関係各証拠上,原告レコード1及び2に係る送信可能化権(著作権法96条の2)の制限事由が存在することはうかがわれないから,本件各利用者が原告らの送信可能化権を侵害したことは明らかである。
そうすると,原告らは本件各利用者に対して送信可能化権侵害を理由として損害賠償請求権等を行使することができることになるところ,原告らが本件各利用者の氏名や住所等を知り得ることは困難であると考えられるから,発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるというべきである。
そして,被告は本件発信者情報を保有し,プロバイダ責任制限法4条1項の開示関係役務提供者に当たるから原告らは被告に対して同項に基づいて原告らの送信可能化権侵害に係る本件発信者情報の開示を求めることができる。

参照

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/030/086030_hanrei.pdf

キーワード

著作権 送信可能化権 発信者情報開示 IPアドレス