2017.04.10
特別縁故者に対する相続財産分与申立却下審判に対する抗告事件

事件番号

最高裁 平成28(ラ)11

判決日付

 平成28年3月2日

事案の概要

被相続人は,平成25年9月,1億2572万余の銀行預金等を遺して死亡したところ,被相続人には相続人がおらず,X1及びX2が特別縁故者としての財産分与を申し立てた。

抗告人X1は,被相続人と縁戚関係はないが,同人の近隣に居住しており,通院に付き添ったり,身の回りの世話等を行ったりしてきた者である。

抗告人X2は,被相続人のいとこであり,冠婚葬祭等の親戚づきあいに加え,相談に親身に乗るなどつきあいをしてきており,被相続人の成年後見申立てに向けた支援にも取り組み,自ら成年後見人に就任して被相続人の身上監護を担ってきた者である。

原審は,X1及びX2は特別縁故者にあたらないと判断し申立てを却下したため,両名が抗告した。

裁判要旨

(X1について)

抗告人X1は、平成12年10月以降被相続人が死亡するまで、被相続人の身の回りの世話をするようになり、さらに、被相続人の精神科受診に付き添ったり抗告人X2と連絡を取り合ったりして、被相続人についての成年後見申立てに向けた支援に取り組んだこと、被相続人は、平成17年7月6日ころ、同人が亡くなった後の不動産及び預貯金を抗告人X1を含む5名の者に遺贈しようと考えてその旨の書面を作成したことなどが認められるのであって、これによれば、抗告人X1は、相続財産の全部又は一部を抗告人X1に分与することが被相続人の意思に合致するとみられる程度に被相続人と密接な関係があったと評価するのが相当である。もっとも、抗告人X1は、平成16年4月以降、被相続人又はその成年後見人からアルバイト料の支払を受けていたものであるが、その額は1か月概ね1万5000円から2万円程度であって、引用に係る原審判の認定した抗告人X1の被相続人に対する関わり合いの実情に照らせば比較的低額といえ、しかも、抗告人X1が被相続人の身の回りの世話を始めたのは、平成12年10月であることなどに照らすと、アルバイト料支払の事実は、抗告人X1が民法958条の3第1項の特別縁故者に当たると認定することの妨げにはならないというべきである。

(X2について)

抗告人X2は、成年後見申立ての前から、被相続人との間で、冠婚葬祭への出席等の親戚づきあいに加え、同人からの相談に親身にのってやるなどのつきあいをしていたこと、抗告人X1と連絡を取り合ったりして、被相続人についての成年後見申立てに向けた支援に取り組み、自ら成年後見人に就任して被相続人の身上看護を担ってきたこと、被相続人は、平成17年7月6日ころ、同人が亡くなった後の不動産及び預貯金を抗告人X2を含む5名の者に遺贈しようと考えその旨の書面を作成したことなどが認められるのであって、これによれば、抗告人X2は、相続財産の全部又は一部を抗告人X2に分与することが被相続人の意思に合致するとみられる程度に被相続人と密接な関係があったと評価することができるというべきである。もっとも、引用に係る原審判の認定するとおり、抗告人X2には後見人としての報酬として既に323万5000円が支払われている(これが報酬として正当な額でないと認めるに足りる資料はない。)ものの、上記の各事情、とりわけ被相続人がその財産を抗告人X2に遺贈する意思を有していたと認められることからすれば、なお抗告人X2は民法958条の3第1項の特別縁故者に当たると解するのが相当である。

(分与額)

縁故の態様、程度等本件に現れた一切の事情を考慮すると、被相続人の相続財産のうち、抗告人らに対し各500万円を分与するのが相当である。

参照

判例時報2310号85頁

キーワード

民法958条の3 特別縁故者 相続財産の分与 相続人不存在