2011.7.8
相続放棄の熟慮期間に関して民法の特例法が成立しました

  

今般の東日本大震災の被災者を対象に,相続の放棄等の熟慮期間を延長する特例法が成立し,平成23年6月21日,施行されました。

 

Q 「相続放棄等の熟慮期間」とは何ですか

A 相続が発生した場合に,相続人が相続を放棄するのか,あるいは限定承認をするかの判断は,民法上「自己のために相続開始があったことを知った時から3ヶ月以内」にしなければならないと規定されており,この期間を熟慮期間といいます。

 

Q 今回の特例法はどのような意味があるのですか。

A 特例法により熟慮期間が「平成23年11月30日」まで延長されることになりました。

たとえば,仮に,相続人が自己のために相続開始があったことを知ったのが平成22年12月11日である場合,本来,熟慮期間は平成23年3月11日まででした。

しかし,今回大震災が発生したために,3月11日までに相続放棄等をするかの判断やその手続,期間伸長の申立などをすることは著しく困難です。そこで,これを救済する趣旨で,熟慮期間を「平成23年11月30日」まで延長することにしたものです。

 

Q 特例法の適用を受けられる「被災者」とは具体的にどのような人のことを指すのですか。

A 特例法の適用を受けるには,次の2つの要件を満たしている必要があります。

①まず,平成22年12月11日以降に自己のために相続の開始があったことを知った方でなければなりません。

②もうひとつは,東日本大震災の発生した平成23年3月11日の時点で「対象区域」に住所を有していたことが必要です。「対象区域」は,末尾の一覧表に記載しています。なお,「住所を有していたかどうか」は,生活の本拠が当該市町村にあったかどうかにより判断されますので,必ずしも住民票がなければならないということではありません。

 

Q 特例法が適用されても,やはり,平成23年11月30日までには相続放棄等をするかどうかを判断できそうにない場合はどうなりますか。

A 家庭裁判所に熟慮期間伸長の申立をする必要がありますので,弁護士に相談してください。

 

Q 注意点があれば教えてください。

A  すでに単純承認をした場合や相続財産の全部又は一部を処分していた場合は,そもそも相続放棄や限定承認ができませんので,特例法による救済が及びません。

また,今回の特例法は相続人の方が被災者である場合の救済措置ですので,「被相続人が被災者かどうか」「相続財産が対象区域内にあるかどうか」といった点は関係がありません。あくまで,「相続放棄等をしようとする相続人の方が被災者かどうか」が重要です。

 

(対象区域)

岩手県

全市町村

宮城県

全市町村

福島県

全市町村

青森県

八戸市,上北郡おいらせ町

茨城県

水戸市,日立市,土浦市,石岡市,龍ヶ崎市,下妻市,常総市,常陸太田市,高萩市,北茨城市,笠間市,取手市,牛久市,つくば市,ひたちなか市,鹿嶋市,潮来市,常陸大宮市,那珂市,筑西市,稲敷市,かすみがうら市,桜川市,神栖市,行方市,鉾田市,つくばみらい市,小美玉市,東茨城郡茨城町,東茨城郡大洗町,東茨城郡城里町,那珂郡東海村,久慈郡大子町,稲敷郡美浦村,稲敷郡阿見町,稲敷郡河内町,北相馬郡利根町

栃木県

宇都宮市,小山市,真岡市,大田原市,矢板市,那須塩原市,さくら市,那須烏山市,芳賀郡益子町,芳賀郡茂木町,芳賀郡市貝町,芳賀郡芳賀町,塩谷郡高根沢町,那須郡那須町,那須郡那珂川町

千葉県

千葉市美浜区,旭市,習志野市,我孫子市,浦安市,香取市,山武市,山武郡九十九里町

新潟県

十日町市,上越市,中魚沼郡津南町

長野県

下水内郡栄村