2010.11.16
最近の1冊  「オータ教授の居酒屋ゼミナール」(太田和彦監修、ぴあ)

 皆さんは太田和彦っていう人を知っていますか。多分知らないでしょうね。

 全国津々浦々の居酒屋を訪ね歩き、CSの旅チャンネルで「日本居酒屋紀行」「続日本居酒屋紀行」「日本百名居酒屋」などのシリーズ番組を持ち、繰り返し放送されている本業はデザイナーの方です。30分番組ですが、「いい酒、いい人、いい肴」という居酒屋3原則をモットーに1回放送分で2件の居酒屋を飲み歩き、余力があればバーを梯子して紹介するという(番組のエンディングで明らかにろれつが回っていないこともある。)、同氏の肝臓を思わず心配してしまうような番組です。現在は日本のバー探訪というテーマで、これまた各地の由緒正しきバーを紹介して歩いています。ちなみに私は、旅チャンネルの中で「ラーメン探検隊」と「漁師町ぶらり」という番組も好きです(さすがに繰り返して放送しすぎたのか、最近は以前ほどの頻度では放送していませんが。繰り返し放送の利点は見逃しても必ず後々見ることができること、欠点は何度も同じ番組を見るはめになることです)。

 太田和彦は、酒と居酒屋に関するエッセイ本を何冊も出しており、酒、肴はもとより、訪問地に絡めて文学や各地の建築物に関する豊富な知識を披瀝するところがなかなか勉強になります。もちろんデザイナーとしても有名だそうで(もともと資生堂の宣伝広告部にいた人です。)その種の本も出していると聞いています。

 私もファンの1人で、この人の居酒屋本はほぼ読んでいます(食に関するこの種B級グルメ本を大量に著しているのは本屋で見る限り東京農大の小泉武夫教授が圧倒してますが。)。その太田和彦監修の最新刊が「オータ教授の居酒屋ゼミナール」(ぴあ)です。とうとう太田和彦も昨今のグルメ本ブームに乗って、居酒屋のカラー写真付きの解説本を出すようになったのか、とういう感じですが。

 居酒屋の5か条。①自分たちだけで騒ぐな ②注文は早く ③食べ物を残すな ④年長者を敬え ⑤携帯電話禁止、だそうです。

 かような前提を踏まえ、ビール、日本酒、肴、大衆酒場、立ち飲み、穴場の名店、とゼミナールが進行しますが、写真が豊富なので見ていて楽しいです。そう読むというより、この本は見て楽しむ本でした。太田教授のうんちくはこれまでいろいろなところで紹介されてもおり、またうっとうしいのもあるので読み飛ばしてもかまいません。

 最後に、太田和彦お薦めの新宿駅周辺の居酒屋として、西口の「吉本」(昔行きましたね。日本酒が豊富でした。)、新宿3丁目では、「鼎」(ドコモの下の鼎ではない、ちと高い。)、「池林房」(客が立て込むとさわがしい。)、「はまぐり」(貝料理専門店なので、貝の嫌いな人は行く意味なし。)「日本再生酒場」(食べ物は旨いらしいが、立ち飲みはどうもね。)、歌舞伎町セントラルロードの「樽一」(鯨が有名で、歩いていると大きな看板を左手上に見かけるが1人で入る勇気なし。)などが記憶の範囲でこれまで紹介された店です。お暇なときに探訪して下さい。大手の居酒屋チェーン店はこの人の眼中にないことは当然です。   

                                                                               以 上(K)