2011.2.9
最近の1冊 「女子学生会長マッカーサー大戦回想記に目覚める!」(初田景都、六耀社)

 ドラッカーの次はマッカーサーである。こういう企画の本はあと何冊かは続きそうだ。横浜の私立の高専が舞台である。膨大な借金を抱え、学生もあまり集まらない横浜高専は校長から廃校を宣告される(正確には関連の大学に吸収)。学生会会長(高専では生徒会とは言わないそうだ)に選ばれた建築学科の4年生津島麻衣は愛してやまない学校の廃校を何とか阻止するために知恵を絞る。戦うための手本をさがしていた麻衣は、たまたま軍事おたくの下級生川崎から勧められた「マッカーサー回想記」に出会う。そして、NHK主催の「高専ロボコン」大会に参加して優勝することで、学校を存続させようと決意する。協力者がいない四面楚歌の中、麻衣は、マッカーサーの戦いのノウハウを参考に、ロボット部を立ち上げ、仲間を集め、精巧かつ優秀なロボットを作り上げて、ロボコン地区大会、全国大会へと進んでいく。結果は全国大会準優勝ながら、ロボコン大賞を受賞(優勝よりもこちらの方が価値ある賞とのことである)。これが話題となって、横浜高専は人気高になり、廃校話もなくなった。戦いに勝利し、「老兵は死なず、ただ消えゆくのみ」とのマッカーサーの最後の言葉を残して、麻衣は卒業していく。ハッピーエンドであるが、あらゆる劣勢を克服し、どうやって戦いを勝利に導いて行くのか、がこの本のテーマである。
 何でそのバイブルがマッカーサーなのか。それはダグラス・マッカーサー52年の軍人生活を総括した回想記であるから、戦略はもちろん、人心掌握術から演出に至るまで、戦いの要諦、エッセンスはほぼ回想記に尽くされているということのようだ。「私は経済学者であり、政治学者であり、技師であり、産業経営者であり、教師であり、一種の神学者でもあることが要求されたのである。」と自ら述べているとおりである。
 ドラッカーはマネジメントで企業を勝利に導き、マッカーサーは多様な戦略で戦争に勝利する、経営と戦争の違いはあるが、共通項がある。
 というわけで、別に主人公が女子学生である必要はないなと思いながら、またほかの企画本が出たら読んでしまいそうです。
                                                                             以上(O)
※ダグラス・マッカーサー
 1880年アメリカ、アーカンソー州生まれ。アメリカ軍人・元帥。太平洋戦争開戦時は極東軍司令官。のちに西南太平洋連合国軍総司令官に就任。日本降伏後は、GHQ最高司令官として日本の占領統治にあたる。朝鮮戦争中にトルーマン大統領と不仲になり解任。1964年没。