2011.1.15
最近の1冊  「江(ごう) 姫たちの戦国 上」(田淵久美子、NHK出版)

 「江(ごう) 姫たちの戦国 上」(田渕久美子、NHK出版)

 

 年頭から始まるNHK大河ドラマの原作である。半年以上もテレビに付き合えないかもしれないので読んでみた。

 織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の戦国武将に縁戚をもつ江(「ごう」と読む。)の家系図を見るだけでも興味深い。物語は江の幼少時の7歳から始まる。すでに父浅井長政は信長(長政の妻市の兄)との戦いに敗れて市と3姉妹を遺して自決している。長政を攻めた信長の軍勢の先鋒が秀吉であった。信長は本能寺で配下の明智光秀に攻められて殉死。その光秀を秀吉が討ち取って秀吉が天下人となる。江の母市(信長の妹)は秀吉への恨みから信長の後継を秀吉と争った柴田勝家と再婚。しかし秀吉は勝家の城に攻め入り、勝家と市は、長女淀(後に秀吉の妻となる。)、次女初(後に京橋高次の妻となる。)、3女江の3姉妹を秀吉の本陣に市の遺言とともに送り届けさせて城を爆破させる。「敵味方は明日にも転じる。」。まことに戦国の世である。秀吉は3姉妹を受け入れたものの性格が信長にそっくりな江を快く思わない。そこで江を信長の血を引く織田一門の佐治一成に嫁がせる。江12歳、一成16歳のとき、最初の政略結婚である。ところが間もなく秀吉と織田信雄(のぶかつ、信長の次男)・家康軍の戦闘が始まり、一成が撤退途中の徳川軍に加勢したものだから、秀吉は一成を追放して、江と離縁させる。江は12歳で独り身になった。ここまでが上巻。江7歳から12歳までの話で、江たちが戦国武将にそれぞれに絡んで物語が展開していく。なにしろテンポが速い。大半が話し言葉のやりとりで進んでいく故か。ちなみに、長政の自決が天正元年(1573年)、江7歳のときが天正7年(1579年)、本能寺の変が天正10年(1582年)、信雄の小牧・長久手の戦いが天正12年(1584年)ということなので、歴史的には当然合っています。ただ、なぜ信長と浅井家は対立していたのか、なぜ母市は3姉妹を秀吉に預け、秀吉はこれを受けたのかなどは説明が足りないような気がしました。

 私は常々脚本家とはすごいものだと尊敬していましたが、脚本家の書く小説もまたかなりおもしろい。当然のごとく後で脚本にすることを考えて構成しています。

 小説は中巻、下巻へと続き、江23歳、3度目の結婚で徳川秀忠に嫁ぎ(これも政略結婚。2番目の夫豊臣秀勝は秀吉の朝鮮征伐で病死)、家光を生み、徳川2代将軍の正室として大奥を創り上げて徳川300年の礎を築くということになります。なお、大奥の終焉を描いた大河ドラマ「篤姫」もこの田渕久美子さんの脚本でした。

 あらかたの歴史の流れを知って見ると、また違った大河ドラマの見方ができると思います。今回の江は龍馬伝のように全編ほこりが舞っているような泥臭いものにはならないでしょう、多分。

 ※家系図は略しました。

                                                                                                以上(O)