2011.4.14
最近の1冊 「謎解きはディナーのあとで」(東川篤哉、小学館)

 主人公の宝生麗子は国立署の刑事、相棒(?)の風祭は警部で麗子の上司です。この2人がコンビを組んで、菅内で発生した難解な事件を見事に解決していく、というお話ではありません。実は、麗子はある有名財閥の1人娘で、超お嬢様。風祭も、とある自動車メーカーの御曹司。麗子は父親に反発して刑事になったという設定です。ただし、麗子が超お嬢様であることは警察の上層部しか知りません。シルバーメタリックのジャガーで現場にご出動の風祭警部と、あーだこーだ言いながら、2人は事件を調べるものの犯人を見つけだすまでにはなかなか至りません。しかし、麗子が刑事の仕事を終えて広大なお屋敷に帰り、お嬢様に戻ってワインをかたむけつつ、執事の影山に事件のあらましを聞かせると、みごと影山が事件を解決してしまうのです。つまりこの物語は、宝生家の執事である影山がもうひとりの主人公ということになります。風祭警部もその付録にすぎません。毎回、麗子から事件の説明を受け、麗子の推理を聞いた後の影山の言葉が笑えます。
「失礼ながらお嬢様-この程度の真相がお判りにならないとは。お嬢様はアホでいらっしゃいますか」(第1話)
「ひょっとしてお嬢様の目は節穴でございますか?」(第2話)
「失礼ながらお嬢様、こんな簡単なことがお判りにならないなんて、それでもお嬢様はプロの刑事でございますか。正直、ズブの素人よりレベルが低くていらっしゃいます」(第3話)
「失礼ながらお嬢様、やはりしばらくの間、引っ込んでいてくださいますか」(第5話)
「お許しください、お嬢様、わたくしチャンチャラおかしくて横っ腹が痛うございます」(第6話)
 執事という麗子に仕える立場ながら、上から目線の影山に麗子はぶち切れます。しかしその推理を受け入れざるを得ません。そして影山が犯人を言い当てたところで物語は終了します。
 何とも軽快な小説で、推理の内容はともかく、あっという間に全6話を読み終わりました。
 続けて同じく東川篤也の「放課後はミステリーとともに」に進みました。これは霧ヶ峰涼なる探偵部所属の高校生(男子かと思ったら実は女子高生でした)が身近に起きた事件の謎を解いていく物語ですが、その推理に影山ほどのきれはなく、歯がゆさが残り、途中でギブアップということになりました。
                                                                                                 以上(M)