2011.7.4
最近の1冊 「ふしぎなキリスト教」(橋爪大三郎、大澤真幸、講談社現代新書)

  たとえば次のような疑問について興味がある方はお読みください。
・どうして神が一つなのか?
・ユダヤ教とキリスト教はほとんど同じ?
・預言者とは何者か?
・イエスは結局、神か?人間か?
・なぜイエスは処刑されたのか?
・福音書はなぜ複数あるのか?
・奇蹟は本当にあったのか?
・カトリックとプロテスタントとの違いは?
・科学はなぜ「西洋」から生まれたのか? 
さらに、
・全知全能の神がつくった世界に、なぜ悪があるのか?
・なぜ偶像を崇拝してはいけないのか?
・奇蹟と科学は矛盾しない?
・イエスは何の罪で処刑されたのか?
・イエスは自分が復活することを知っていたのか?
・福音書の不可解なたとえ話はどう解釈したらよいのか?
・キリスト教はいかに西洋をつくったのか?
・三位一体説とは何か?
・聖霊とは何か? -等々
 西洋文明の中核にあるキリスト教を「わかっていない度合い」で調べたらおそらく日本がトップであろうという。日本はキリスト教とはほとんど無関係に近代化が進んだからだ。
 しかし日本の近代化は、キリスト教に由来する「西洋」を次々と受け入れてきた歴史でもある。
 近代化とはキリスト教に由来する様々な制度や考え方を、西洋の外部にいた者たちが受け入れてきた過程であったことを再認識し、あらためて現代の困難を乗り越えるために、そのおおもとのキリスト教を理解しなければならない、との問題意識で本書は書かれた。
 内容は質問者を大澤、回答者を橋爪とする対談の形式で進められるが、きわめて読みやすく、かつわかりやすく書かれている。
 著者はいずれも社会学者である。キリスト教を踏まえないと、ヨーロッパ近現代思想はわからないし、現代社会もわからない、日本人がまず勉強すべきはキリスト教であると断言する。2人の共通認識である。
 数多出版されている同種の書籍の中で出色のものである、と私は思う。

以上(S)