Q 「私は,建物を貸しているところ,賃借人に更新後の家賃の値上げを求めましたが,賃借人にこれを拒否されました。賃貸人としては,どのような法的手続を採ることができますか。」
A 「家賃の値上げや値下げは,当事者で話し合って決めるのが原則ですが,借地借家法により,一定の期間家賃を増額しない旨の特約がある場合を除き,家賃が,①土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により,②土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により,又は,③近傍同種の建物の家賃に比較して,不相当となったときは,家賃の増減額請求ができると規定されています。
上の事例では,賃貸人としては,まず,賃借人に対し,賃料増額の意思表示を行い(口頭によることもできますが,配達証明付きの内容証明郵便による通知書を送付するのがよいでしょう。),賃借人が値上げに応じなければ,簡易裁判所に調停を申し立てることになります(調停前置主義)。調停は,話合いによる解決を図る手続ですので,話合いがまとまらなければ,訴訟を提起して,値上げした家賃の確認やその支払いを求めることになります。」