Q: 私は今の会社に勤務して今年で5年目になりますが,ほとんど毎日,1時間以上の残業を行っているにもかかわらず,残業代が支払われたことは一度もありません。会社に対して,残業代を請求しようと思うのですがどうしたら良いでしょうか。
A: まずは,残業を行ったことを示す資料を確保してください。例えば,タイムカードや勤怠状況が保存されたデータをプリントしたものなどです。もし,正確に記録したものがなければ,勤務時刻が記載された業務報告書やスケジュール表などでも構いません。また,就業規則,給与規定,給与明細書などの残業代を算出するための資料を確保してください。
次に,これらの資料を基に会社に対して,残業代を支払うよう通知します。
それでも残業代が支払われない場合は,裁判所に対し労働審判の申立てを行います。
労働審判では,裁判官が間に入って会社との話合いを行います。この話合いで解決ができなければ,審判委員会(裁判所)が双方の主張や証拠を踏まえて,一定の判断を示します。これを審判といいます。
双方が審判に異議がなければ,審判の内容に従って残業代が支払われることになりますが,一方から異議が申し立てられれば,通常の訴訟手続に移行することになります。
労働審判では申立てから約3か月程度で判断(審判)がなされますが,通常の訴訟手続きでは1年以上かかることもあります。
残業を行ったことを示す証拠は,時間が経過するほど確保することが難しくなりますので,残業代が支払われていないのではと感じた場合には,すぐに弁護士にご相談されることをお勧めします。